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廃墟/関東

三郷の青い家跡(蔦の家・墓地跡地の賃貸住宅)

高速道路建設の移転先が墓地跡地——妊娠中の妻が首を吊り、タクシーを拾う妊婦の霊が囁かれた青いサイディングの賃貸住宅

埼玉県の南東端、東京都葛飾区と千葉県松戸市に隣接する三郷市。
常磐自動車道と東京外環自動車道の交差点に近いこの街の住宅街の一角に、かつて『三郷の青い家』と呼ばれる、関東屈指の心霊スポットとして恐れられた一軒の賃貸住宅がありました。
建物は二〇一〇年から二〇一二年の間に解体され、現在は空き地となっていますが、解体後もこの土地にまつわる怪異の伝承は、心霊愛好家のあいだで根強く語り継がれています。
『青い家』という呼称は、建物の外壁に貼られていた青いサイディング材から来ています。
地元では『蔦(つた)の家』という別称も使われていたと伝わります。
住宅街のなかにあって、ごく普通の二階建ての小さな賃貸住宅で、外観だけ見れば、決して『心霊スポット』として注目を集めるような目立つ建物ではありませんでした。
けれども、そこで起きた出来事の重さが、この建物を関東を代表する怪談の舞台へと押し上げていったのです。
伝わる経緯は、極めて重い社会的背景を持っています。
当初、ある夫婦が住んでいた土地が、首都圏の高速道路建設計画の用地買収に当たり、移転を余儀なくされました。
立ち退きの代わりに、自治体から代替地として紹介されたのが、現在の三郷市内のこの土地でした。
夫婦はこの新しい土地に、住居と店舗を兼ねた建物を建てて新しい暮らしを始め、さらに隣接地には賃貸収入を目的とした青いサイディングの賃貸住宅——『青い家』——を建築しました。
ところが、後になって発覚した事実があります。
この二つの隣接した敷地は、移転前は『墓場だった』というのです。
改葬の手続きが完全だったのか、あるいは記録が失われていたのか——現在となっては正確には検証できませんが、地元の口伝では『敷地の奥に、いくつか古い墓石が残っていた』という証言も伝わっています。
『青い家』の最初の入居者は、若い夫婦でした。
妻は妊娠中で、新しい家での生活と、これから生まれてくる子供への期待に満ちていたといいます。
ところが、入居直後から、妻は不可解な体験を訴えるようになります。
『二階にいると、一階から大勢の人の話し声が聞こえる。
慌てて一階に下りてみると、声は止む。
今度は二階に戻ると、二階の方から声が聞こえる。
一階に下りると、また止む。
』 最初は引っ越し直後の疲れや、妊娠による神経質さによるものだと、夫は妻をなだめていたといいます。
けれども、症状は治まらず、妻は次第に情緒不安定になっていきました。
家のなかで一人で過ごす時間が増えるたびに、複数の人の話し声に苦しめられ、誰に相談しても妊娠による不調と片付けられる——その孤独と恐怖が、彼女の心を蝕んでいきました。
最終的に、妻は『この家から引っ越したい』と夫に何度も懇願したと伝わります。
けれども夫はそれに耳を貸さず、引っ越しは実現しませんでした。
そして、ある日、身重の妻は『青い家』の二階で、首を吊って自ら命を絶ったのです。
母になることを楽しみにしていた彼女は、ついに我が子を腕に抱くことなく、この家で生涯を終えました。
これが、『青い家』の伝承の核となる出来事です。
その後、青い家には新しい入居者が次々と入りましたが、いずれも怪奇現象に耐えきれず、すぐに転居していったといいます。
複数の入居者が同じように『家のなかから人の話し声が聞こえる』『気配を感じる』『眠れない』と訴え、しかも一部の入居者は、最初の妊婦の妻と同じように自ら命を絶ってしまった、という噂が地元では密かに語り継がれてきました。
『青い家』の伝承で、もう一つ広く知られているのが、タクシー運転手のあいだに広まった怪談です。
三郷市内、特に青い家の前を通る道を走行していたタクシー運転手たちが、深夜に妊婦が手を挙げているのを見て停車し、行き先を告げて乗車させたところ、途中で『気付くと後部座席に誰もいなくなっている』という体験を、複数の運転手が共通の形で語ったといいます。
やがてこの噂は三郷市のタクシー業界全体に広がり、青い家の前の道路は『タクシーが避ける道』として、地元では知られていきました。
二〇一〇年から二〇一二年の間に、青い家は解体されました。
隣接していた大家夫婦の家もその後空き家となり、こちらも将来的に取り壊されるのではないかと予測されています。
現在、青い家の跡地は空き地となっていますが、地元の方々のあいだでは、この区画には新しい建物が建てられないままになっていると伝わります。
私が三郷の青い家について最も伝えたいのは、ここが派手な事件・事故の現場というよりも、戦後日本社会の都市開発のなかで、複雑に絡み合った『土地と人の関係』の悲劇を、極めて生々しい形で体現した場所だ、ということです。
高速道路建設による立ち退き、移転先として紹介された墓地跡地、改葬の不完全性、若い妊婦の孤独と自死、複数の後続入居者の悲劇、タクシー怪談——これら全てが、戦後の都市化の流れのなかで生まれた、現代日本ならではの怪異の集積です。
土地にまつわる伝承の信憑性をどう判断するかは、皆さんそれぞれの感覚に委ねたいと思います。
ただ、ひとつ確かなことは、ここで実際に若い妊婦の方が命を絶たれたという事実です。
心霊スポット消費の対象としてではなく、彼女の魂への静かな弔いの感覚で、この土地について語り、思いを馳せていただければと願います。
跡地への近づきは、地元の方々の生活圏のすぐ脇という立地のため、周辺住民への迷惑を最小限にとどめてください。

【沿革・年表】

三郷の青い家は埼玉県三郷市にあった賃貸住宅で、地元では関東屈指の心霊スポットとして恐れられました。
高速道路建設の立ち退きで移転した夫婦が、自治体紹介の代替地(移転前は墓場だった)に建てた建物で、最初の入居者の妊娠中の妻が人の話し声に悩まされて首吊り自殺。
後続の入居者も次々と短期間で退去し、青い家の前を通るタクシーが妊婦の霊を拾うという怪談が広まりました。
2010〜2012年に解体され、現在は空き地です。

  • 戦後昭和三郷市が首都圏のベッドタウンとして急速に開発される。墓地・寺院の改葬と宅地化が並行して進む地区もあった
  • 1980年代頃首都圏の高速道路建設計画により、ある夫婦が住居の立ち退きを余儀なくされる
  • 1980〜90年代頃自治体から紹介された三郷市内の土地に、夫婦が住居兼店舗を建設。隣接地に賃貸用の青い家を建てる。敷地が移転前は墓場だった事実は、後に判明したと伝わる
  • 建築直後若い夫婦が青い家に入居。妊娠中の妻が『2階で1階の人声、1階で2階の人声』が聞こえる怪異に悩まされ始める
  • 入居期間中妻が夫に何度も転居を懇願するが、夫は妊娠による神経質と判断して聞き入れず
  • 入居の終わり身重の妻が青い家の二階で首を吊って自死。母になることなく生涯を終える
  • 1990〜2000年代後続の入居者が次々と入るが、いずれも短期間で退去。一部の入居者も自ら命を絶ったとの噂が広がる
  • 1990〜2000年代タクシー運転手のあいだで『青い家の前で妊婦を乗せたが途中で消えた』との怪談が共通の形で広まる。前の道がタクシーに避けられるようになる
  • 2010〜2012年青い家が解体される。建物としての存在が消える
  • 現在跡地は空き地のまま。隣接する大家夫婦の家も空き家化。心霊愛好家のあいだで関東屈指の伝承を持つ廃墟跡として語り継がれている
【現象録】
  • 最初の入居者の妊娠中の妻が訴えた最初の異変。二階にいると一階から大勢の人の話し声が聞こえ、慌てて一階に下りると静まる。今度は二階に戻ると、二階から声が聞こえてくる。という不可解なパターンで、彼女を追い詰めていった現象です。
  • 深夜の三郷市内で、青い家の前の道を走行していたタクシー運転手が、妊婦らしき女性が手を挙げているのを見て停車し乗車させたところ、途中で後部座席から消えていたという体験を、複数の運転手が共通の形で語ったといいます。前の道はタクシーに避けられる道となりました。
  • 最初の入居者の妊婦の妻が首を吊った後、新しい入居者が次々と入りましたが、いずれも怪異に耐えきれず短期間で退去。一部の入居者も自ら命を絶ったとの噂が地元では密かに語り継がれてきました。
  • 敷地の奥に、改葬されずに残った古い墓石がいくつか見えたという証言が伝わります。移転前が墓場だったという事実の物理的な痕跡として、長く地元に印象を残しました。
  • 青い家に隣接する大家夫婦の家でも、深夜の睡眠が浅くなる、不思議な気配を感じる、といった体験が報告されており、青い家解体後も大家の家は空き家化したと伝わります。
  • 青い家の解体工事中に、作業員が複数の人の囁き声や、女性のすすり泣きを耳にしたという話が、地元の口伝として残されています。
  • 現在は空き地となっている跡地の前を通った地元住民や訪問者が、急に強い悲しみや胸の締め付けを感じたという体験談が報告されています。
  • 建物が解体された後も、跡地周辺で妊婦の霊らしき影を見たという目撃譚が、心霊愛好家から散発的に報告されてきました。
【所在・交通】
住所
埼玉県三郷市内(具体的所在地は地元住民配慮のため公開されていない)
交通
JR武蔵野線三郷駅または新三郷駅から徒歩圏(具体的経路は公開推奨せず)
現況
建物は2010〜2012年に解体済。跡地は空き地として残る
訪問覚書
閑静な住宅街内にあるため、深夜訪問・大人数訪問は厳禁。控えめな通行のみ
確認日
2026年
【民俗・伝承】

三郷の青い家の伝承を理解するためには、戦後日本社会の急速な都市開発と、土地が抱える歴史的記憶の問題を、丁寧に辿る必要があります。
戦後の日本では、高度経済成長期から平成期にかけて、首都圏を中心とする急速な都市開発が進められました。
高速道路、新幹線、地下鉄、ベッドタウン——これらのインフラ整備のために、無数の住民が立ち退きを余儀なくされ、自治体や開発主体が代替地を紹介する慣行が広く行われてきました。
代替地として紹介される土地のなかには、過去に墓地・寺院・神社などの宗教的施設があった場所が、改葬や移転を経て『更地』として再分譲されるケースが、決して珍しくありませんでした。
改葬の手続きが法的に完了していても、地霊・祖霊・無縁仏の伝統的な弔いの体系では、必ずしも完全に『霊が立ち去った土地』とは見なされない場合があります。
民俗信仰の観点では、墓地跡地は『地霊が滞留しやすい場所』として、長く特別な扱いを受けてきました。
日本各地で、宅地化された旧墓地跡で起きた不可解な出来事の話が断片的に伝わっており、地元の方々のあいだでは『改葬しても完全には霊が立ち去らない』という感覚が、薄く広く共有されてきたのです。
三郷の青い家の伝承が、関東屈指の心霊スポットとしての地位を獲得した最大の理由は、こうした民俗信仰的な背景と、極めて具体的で重い現代的な悲劇とが、見事に重なり合っているからだと考えられます。
妊娠中の若い妻が、家のなかで人の話し声に悩まされ、夫に理解されないまま自ら命を絶つ——この物語は、いくつもの社会的・心理的要素が絡み合った、現代日本の悲劇の典型例と言えます。
第一に、立ち退きと代替地紹介という戦後都市化の構造的問題。
第二に、墓地跡地という土地の歴史的記憶。
第三に、妊婦の精神状態への周囲の無理解と、相談相手のなさ。
第四に、家庭内での夫婦のコミュニケーション不全。
第五に、命を絶たれた方の母性と、生まれることのなかった子供の存在——これら全てが、青い家という一軒の建物のなかで、極めて凝縮された形で発現したのです。
『タクシーで消える妊婦の霊』というモチーフは、日本各地の都市部で類似の怪談が伝わっています。
東京、大阪、名古屋——大都市のタクシー業界では、深夜に拾った若い女性が途中で消えたという話が、各都市で共通の形で語られてきました。
これらの『タクシー怪談』は、現代日本の都市生活のなかで、最も典型的な現代怪談の型の一つとなっています。
三郷の青い家のタクシー怪談が特に印象深いのは、それが具体的な実在の建物と、実在した特定の悲劇とに直結している点です。
一般的な『タクシーで消える女』の都市伝説と異なり、三郷の青い家のタクシー怪談は、誰が、いつ、どこで、何があったかという具体的な背景を持っており、聞く者の感覚に強い実感を伴って迫ってくるのです。
第二の重要な層が、後続入居者の連鎖的な悲劇の伝承です。
これは具体的な事実関係を完全に検証することが難しい部分ですが、地元の口伝として『複数の入居者が同じような怪異に遭い、一部は自ら命を絶った』という話が、長く伝えられてきました。
土地の集合的な記憶が、入居者の心理状態に作用し、不幸な事例を呼び寄せていく——という、極めて重い構造的問題が、こうした連鎖的悲劇の根底にあったのかもしれません。
二〇一〇年から二〇一二年にかけての解体は、青い家の物理的な存在に終止符を打ちました。
けれども、跡地は依然として空き地のままで、新しい建物が建てられていない事実は、土地の記憶がいまも何らかの形で残り続けていることを示唆しているのではないかと、地元の方々は感じています。
民俗学的な観点では、『建物が消えた後も残る土地の記憶』は、極めて典型的な現象です。
日本各地の旧刑場跡、旧戦場跡、旧災害現場では、建物や物理的な痕跡が消えた後も、土地そのものが特別な扱いを受け続ける事例が数多く知られています。
三郷の青い家の跡地も、こうした『記憶の継承』の現代的な事例として、これからも語り継がれていく可能性が高いと思います。
私が皆さんに伝えたいのは、三郷の青い家を訪れる場合(実際には跡地に近づくだけですが)、ぜひ心霊スポット探索の対象としてではなく、ここで命を絶たれた若い妊婦の方への、静かな弔いの感覚で向き合っていただきたい、ということです。
彼女が母になることなく旅立たれた事実、生まれてくることのなかった彼女のお子さんの存在——その重さに、ほんの少しでも思いを向けていただければ、跡地の空き地が訪問者に何かを伝えてくれるかもしれません。
跡地周辺は閑静な住宅街です。
深夜の大声・大人数訪問は、近隣住民の方々の生活を脅かす重大な迷惑行為となります。
地元の方々が長く守ってきた静かな弔いの感覚を尊重して、もし訪れるなら昼間に控えめな所作で、敬意を持って通り過ぎていただきたい場所です。

【参考文献】
#廃墟#青い家#蔦の家#墓地跡地#妊婦の霊#タクシー怪談#三郷市
⚠ WARNING
  • 三郷の青い家は2010〜2012年に解体済みです。跡地は空き地となっていますが、私有地への無断立入は厳禁です
  • 跡地周辺は閑静な住宅街です。深夜の大声・大人数訪問は近隣住民の生活を脅かします。控えてください
  • 妊娠中の妻が自ら命を絶たれた場所です。心霊スポット消費目的の訪問は、彼女と関係者への重大な無作法となります
  • 心霊系YouTuber動画の撮影目的の訪問は、地元住民から強く忌避されています。配慮を最優先してください
  • 前の道路は『タクシーが避ける道』と地元で語り継がれてきた経緯があります。深夜のタクシー利用は控えてください
  • 霊感が強い方は、跡地周辺で気分が悪化する事例があるとも語られます。無理に近づかないでください
  • 三郷の青い家を題材にした怪談話は、必ずしも全てが事実関係を検証されているわけではありません。地元の方々への配慮を欠いた発信は控えてください
  • 建物は完全に解体されています。『青い家』の建物そのものを探しに行く行為は徒労に終わります
最終更新:2026-05-13 00:01:21